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新型コロナウイルスに関する雇用調整助成金について

連日テレビやインターネット等のメディアで取り沙汰されている新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)について、現在厚生労働省では雇用調整助成金の特例措置を拡大しています。今般の感染症流行前からこの助成金は存在しており、景気の変動や経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対して助成される制度ですが、感染症の影響で事業活動の縮小を余儀なくされる事業主に対して本来よりも支給要件のハードルを下げた特例措置を講じているものです。

雇用関係助成金を扱う社労士として相談を受ける機会も日を追うごとに増えてきていると感じる所ですが、各種メディアで報じられている情報が現場に落とし込まれておらず(3月末現在山陰地方、とりわけ島根・鳥取両県で感染者が報じられていないことも関係するかもしれません)情報が錯綜している印象です。各種メディアでは「上限付きの有給全額補償」や「フリーランス補償」の情報もありますが、これらは雇用調整助成金とは異なるものですので混同してはならず、「フリーランス補償」については今現在(3月末現在)も申請について具体的な情報は確定していませんので、それぞれについて以下にまとめたいと思います。

 


■雇用調整助成金


【支給要件】

労働保険料を適正に申告・納付している事業主が対象となり、感染症の影響により事業活動の縮小を余儀なくされる事業主であれば業種を問いません。

【特例措置】

本来であれば休業予定を組んで事前計画を届け出る必要がありますが、既に休業を実施している事業主でも支給対象となる点が挙げられます。「事業活動の縮小」を判断する基準として、対前年比生産指標が1月あたり10%以上低下が要件の所、5%低下に緩和されました。また、雇用関係助成金は雇用保険被保険者が支給対象となるのが原則ですが、状況を鑑み雇用保険被保険者以外(労災保険のみ適用されているアルバイト等)の労働者も助成対象に含まれます。

【支給額】

感染症による休業といえど、労働者を会社命令により休業させた場合は「会社都合による休業」とみなされて労基法上の休業手当(日給のおおよそ60%)を支払う必要があります。支給額は本来だと、この60%の休業手当の2/3となりますが特例措置により4/5(3/30現在)となります。※厳密には昨年度の雇用保険被保険者の賃金総額を被保険者人数で除した平均額を考慮します。

詳しくはこちら「厚生労働省HP]

 


■小学校休業等対応助成金


【支給要件】

感染症に関する対応として、小学校等が臨時休校した場合で自治体や放課後児童クラブ、保育所等から利用を控えるよう依頼があった場合で、該当する労働者(保護者)が当該理由により欠勤した場合に有給処理をした事業主が対象となります。※保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外となります。

【特例措置】

雇用調整助成金と同様に、雇用保険被保険者でなくとも助成対象となります。また、感染症の影響で春休みの期間に変更が出ている学校等もあるかと思いますが、期間の変更に関わらず令和2年2月27日から同年3月31日までの期間の欠勤に対する有給処理に要した費用は助成対象となります。

【支給額】

有給休暇を取得する対象労働者に支払った賃金相当額×10/10(8,330円を上限に全額補償)

【注意点】

労基法上の年次有給休暇は支給対象となりません。本来労働者が所持している有給は除き、感染症に伴い別途有給を与えた事業主が支給対象となります。

詳しくはこちら「厚生労働省HP]

 


■フリーランス補償


3月末現在は詳細が不明となります。メディア等では4,100円を上限に補償するといった情報が流れていますが、雇用される労働者が上限8,330円補償に対してフリーランスは約半額になるとのことです。加藤厚労相は「(雇用保険に加入する)週20時間でいえば、週5日、1日4時間だ」とする根拠を説明をされましたが、恐らく関東圏の最低賃金時給額がおおよそ1,000円程度ですので「1,000円×4時間」でフリーランスの補償額に至るものと思います。しかし雇用関係助成金は雇用されている労働者を対象に支給するものとなりますので、月給・日給・時給問わず労働契約書ないし労働条件通知書によって賃金単価に根拠があるものです。その点を踏まえるとフリーランスは労働者ではないためそもそも「賃金」の概念がなく、更にいえば最低賃金法の適用がありませんので、補償額の算出について最低賃金を基に計算することについては疑問が残ります。フリーランスは収入が千差万別でばらつきがあるため補償額の算出根拠をどのようにするのか、今後も注視したいと思います。

詳しくはこちら「時事ドットコムニュース」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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