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コロナ関連の従業員欠勤

新型コロナウイルス感染症がまん延してからもうじき3年を迎えます。

今年も年末にかけて感染者数の増加(第8波)が懸念されており、島根県内においても同様です。コロナ関連で従業員が欠勤するご相談が増えてきましたが、欠勤事由別に対応すべき社会保障制度は様々ですので改めてご紹介したいと思います。


従業員が感染した場合(感染経路不明の場合)


一番多いご相談事例となります。従業員ご自身が感染し、感染経路不明で労務不能となった場合は健康保険の「傷病手当金」を請求することができます。欠勤してから3日間は待期期間として支給されませんが、4日目以降はおおよそ日給の2/3が請求手続きによって健康保健制度から支給されます。待期期間の3日間は出勤の実態がなければ良いため年次有給休暇等で処理されても待期期間は完成しますし、公休日等もカウントされます。例えば土日が公休日の会社で金曜から労務不能の場合は金曜と土日を含めた3日間で待期期間が完成しますので翌週月曜から支給されるものとなります。傷病手当金の支給申請には担当医の証明が必須となりますが、コロナ欠勤については特殊で厚労省のアプリ「MY HER-SYS」によって発症日が確認できれば代用できます。 現在新型コロナウイルス感染症の急激な拡大を踏まえ、医療機関や保健所の負担を軽減する観点から、臨時的な措置として当面の間、担当医の証明や保健所発行の証明書の写し(MY HER-SYSを含む)の添付は不要となります。ただし申請期間が14日以上になる場合は「療養状況申立書」の添付が必要です。


従業員が感染した場合(職場での感染が疑われる場合)


職場での感染が疑われる場合は労災保険の対象となり得ます。ただし職場で感染したのかプライベートな時間で感染したのかは判断や証明も難しいなか、厚労省では「感染経路が業務によることが明らかな場合」は労災適用し休業補償給付を支給しています。では感染経路が業務によることが明らかな場合とはどのような場合でしょうか?厚労省が発表している労災認定事例をご紹介します。

■事例1「複数の感染者が確認された労働環境下での業務」

感染経路は特定されなかったが、工事現場の施工管理業務従事者Aさんは、発症前14日間に工事現場の事務室において現場の施工状況を管理する業務に従事していた際、当該事務室でAさんの他にも、新型コロナウイルスに感染した者が勤務していたことが確認された。このためAさんは感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

■事例2「顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務」

感染経路は特定されなかったが、販売店店員Bさんは発症前14日間に日々数十人と接客し商品説明等を行う等感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

2つの事例をご紹介しましたが、コロナの労災認定は比較的難しい印象です。ただし認定されやすい業種も存在しており、「感染リスクが高い業務」となります。リスクが高い業種とは「医師・看護師や介護の業務に従事される方」となり、これらの業種は「業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象」とされていますので労災認定率が高いものとなります。労災の休業補償給付はおおよそ日給(給付基礎日額)の6割+2割(特別支給金)となり傷病手当金より手厚くなる傾向です。認定基準が厳しいなか医療関係事業所におかれましては傷病手当金によらず労災請求を検討することも考えられます。


従業員の子供が感染して濃厚接触者となった


こちらもよくある事例となります。従業員のお子様が通っている小学校や保育園でクラスターが生じ休校となった場合や、お子様が感染されたことに伴い濃厚接触者として従業員が欠勤する場合等が想定されます。従業員自身が陽性ではないため傷病手当金や休業補償給付を請求できません。会社、従業員双方としても陽性でないとはいえ濃厚接触者の状態で出勤することは躊躇します。会社の指示で欠勤を命じた場合は会社都合による休業となり、労基法により休業補償(平均賃金の6割)が必要となります。会社としては労務提供もないなかで、給与の6割補償は痛手となりますが何か保障はないのでしょうか?当該事例については「小学校休業等対応助成金」をご案内します。

■小学校休業等対応助成金

年次有給休暇(労働基準法上の年次有給休暇)を除き、コロナに関する有給休暇を取得させた事業主は助成金の対象となります。雇用調整助成金と同じく支給上限額が絞られてきていますが日額上限額ですと9/30までの休業については9,000円、11/30までは8,355円となります。厚労省曰く「事業主の皆さまには、この助成金を活用して有給の休暇制度を設けていただき、年休の有無にかかわらず利用できるようにすることで、保護者が希望に応じて休暇を取得できる環境を整えていただけるようお願いします。」とのことです。日額上限8,355円とはいえ、支給要件も厳しくない印象ですので該当することがあれば積極的に申請すべき助成金と考えます。


コロナの影響で仕事が減少し従業員を休ませざるを得ない


コロナの影響で従業員に会社都合による休業を命じた場合は、雇用調整助成金を申請することが考えられます。会社都合により従業員を休ませたことにより休業補償を支給した事業主に対して補償割合に応じて助成金を支給するものとなります。コロナ当初から雇用調整助成金を申請しておりますが、さすがに最近はかなり審査が厳しくなっている印象です。来年3月まで特例制度が延長されましたが、12月以降は売上減少要件が10%に変更されるなど審査要件は難しくなる傾向です。

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