前回の続きです。
産前産後休業や育児休業を取得した従業員に対して様々な給付金制度があることをご紹介しました。
これらの休業を適正に付与した事業主に対しては、支給申請手続を行うことにより厚生労働省管轄の「雇用関係助成金」が支給されることがあります。
出産・育児に関する助成金としては「両立支援等助成金」が挙げられます。「両立支援等助成金」とは総称となり、事業主が講じた内容に応じて様々に枝分かれしたコースが用意されていますのでいくつかご紹介します。
1.育児休業等支援コース(休業取得時)
【支給額】
28.5万円
【支給要件】
■育児休業の取得・職場復帰について「育休復帰支援プラン(以下「プラン」)」により支援する措置を実施する旨、就業規則等で明文化・周知すること。
■事前に対象従業員と面談を実施し、面談結果を記録した上で育児の状況や今後の働き方についての希望を確認の上「プラン」を作成すること。
■「プラン」に基づき対象従業員の育休開始日(産休から続けて育休に入る場合は産休開始日)の前日までに業務の引継ぎを実施し、対象従業員に3ヵ月以上(産休から続けて育休を取得する場合は産休期間を含む)の育休を取得させること。
2.育児休業等支援コース(職場復帰時)
【支給額】
28.5万円
【支給要件】
■対象従業員の休業中に「プラン」に基づく措置を実施し、職場の情報・資料の提供を実施すること。
■職場復帰前と復帰後に上司が面談を実施し、結果を記録すること。
■上記面談結果を踏まえ、原則として原職に復帰させ雇用保険の被保険者として6ヵ月以上雇用すること。
3.出生時両立支援コース
【支給額】
57万円(中小企業) 28.5万円(中小企業以外)
【支給要件】
男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場づくりに取り組み、実際に男性が育児休業や育児目的休暇を取得すること。
【ポイント】
「職場づくり」とは、男性従業員に対して育休制度の資料を作成し周知する等が挙げられます。出生後8週間以内に育児休業を取得し、当該休業が8日以上(中小企業は5日以上)の場合は要件に該当します。なお、1人目には上記支給額となりますが、2人目以降の取得者が出た場合は休業期間に応じて14.25万円~33.25万円に減額となります。
4. 出産後職場復帰奨励金
【支給額】
10万円~40万円(中小企業のみ)
【支給要件】
育児休業後に職場復帰し3ヵ月以上雇用された従業員がいる事業主が支給対象となります。育児休業期間に応じて支給金額が以下のように異なります。
■育児休業17か月以上・・・40万円
■育児休業3か月以上17か月未満・・・20万円
■育児休業3か月未満または産前産後休業のみ・・・10万円
【ポイント】
雇用保険料を財源としない島根県独自の助成金制度であるため、雇用保険の被保険者でなくとも支給対象となり得ます。また育児休業を取得せず産前産後休業のみを取得した従業員がいる場合でも支給対象となり得ます。就業規則の整備は必要ですが事前計画等も不要ですので、申請のハードルが雇用関係助成金よりも比較的低く取り掛かりやすい点が挙げられます。