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社会保険料率の改定

毎年3月に社会保険料率が改定されます。健康保険、厚生年金保険、介護保険の総称を狭義で社会保険と呼びますが、厚生年金保険料率はすでにH29に頭打ちとなっているため改定対象は健康保険と介護保険となります。

最近は税金や最低賃金、社会保険料の引き上げに関する情報が目立つなか珍しく島根県は令和6年度健康保険と介護保険料率がいずれも引き下げとなりました

保険料率は「国民医療費」と呼ばれる保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用について、各年度で都道府県ごとの累計と全国平均とを比較して評価される成績によって保険料率が決定する仕組みとなっており、全国平均と比較して島根県は数値(医療費・介護費)が低かったためだと思われます(少子高齢化先進県と言われてますが、、)。

一方で社会保険加入者一人当たり平均500円程度の社会保険料負担増とのニュースが報じられました。

※当事務所作成。2024.4.9放送 テレビ朝日報道ステーション引用

国会では新たに創設される子育て支援金について、児童手当の高校生までの拡大や「こども誰でも通園制度」などの少子化対策の財源として、総額約1兆円分を健康保険料に上乗せして徴収する構想のようです。

また育児休業給付金の支給割合を現行の育休開始から半年間は67%から80%に引上げるための財源確保も想定された雇用保険法改正案が内閣で閣議決定されました(法案の国会審議は未通過)。給付金には社会保険料がかからないことから、実質手取は育休前と同額の賃金を受け取れるようにする方針のようです。

社会保険制度は企業や従業員に加入の意思を問うものでないため、受益者負担の問題と対にあるとは思うのですが、このニュースを見て色々と意見が分かれるところだと思いました。

少子高齢化社会で医療・介護費増は避けては通れず、世代間扶養の観点に立てばリソースを育児に充てるのは必然です。ただ負担の割合は年齢問わず公平であるべきという声が出てきそうで、負担比率を同じにするのではなく保険事故割合に応じて増減する公平性も必要ではないかと思います。

労災保険では自動車保険と同じように事故率が高い事業所の保険料が上昇するメリット料率制度があるのですが、社会保険にはありません。傷病手当金や出産手当金、育休給付金を保険事故というつもりはありませんが、保険料負担に対する給付(受益)が少ない被保険者は保険料が抑えられるような制度であれば公平性が高まりそうな気がします。

他国と比べて至らないところに税金や社会保険料を充てがって欧州的国力をあげることには納得がいきます。致し方ないことでありそれが社会保障制度の根幹にあるとは思いますが、国民の納得感が得られる制度設計が必要ではないかと。行政からは管理が大変だと言われそうですが、、まさにマイナンバーの出番だと思います。

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