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変形労働時間と法定休日について

労働基準法における大原則として法定労働時間(1日8時間・1週40時間)があります。

ただし原則を前提とする場合はほぼ例外があり、多分にもれず労働時間についても例外(抜け穴?)がありますのでご紹介したいと思います。


■週法定労働時間が44時間となる特例事業所


常時労働者数が10名未満の特例業種については週法定労働時間が44時間となります。

【特例業種とは】

労基法別表第1第8号(商業)、第10号(映画・演劇業)、第13号(保健衛生業)、第14号(接客・娯楽業)となります。

当事務所でご相談をいただく案件として比較的多いのは特例業種の第13号保健衛生業と、第14号接客娯楽業となります。

医療法人や個人経営のクリニック、各種サービス業様で常時労働者数が10名未満であれば週44時間の特例制度を活用できます。


■変形労働時間制


労働基準法における大原則、1日8時間・1週40時間に照らせば週の労働日数は5日が限度となります。

仮に1日の所定労働時間を7時間に減らしても週に6連勤した場合は42時間となり、法定労働時間である40時間を超過した

2時間分は1.25の時間外労働割増賃金を支給する必要があります(36協定を締結していることを前提とします)。

そこで変形労働時間制(ここでは1ヵ月単位とします)を導入すると、日の所定労働時間が7時間の事業所で週6連勤した場合でも

月間6日の休日が確保されていれば時間外労働割増賃金を支給する必要がなくなることとなります。

⇒変形労働時間制における必要休日日数一覧表


■休日とは


日の所定労働時間が7時間の事業所で、1ヵ月の変形労働時間制を導入したときは月あたり6日の休日が必要と述べました。

インターネット等では「休日労働は35%増の割増賃金が必要」といった情報が散見されますが厳密には異なり休日労働には

「法定休日」と「所定休日」の2種類がありそれぞれ割増率は異なります。


■法定休日


労基法上「週1日もしくは4週間を通じて4日以上」の休日が必要とされており、これを法定休日といいます。

毎週日曜を法定休日とする場合等は分かりやすいですが、月によって出勤状況が異なるシフト制の事業所では

法定休日の特定が難しく4週を通じて4日以上の変形制の法定休日を導入することとなります。


■所定休日


1日8時間で完全週休2日制(土日休)の事業所ですと、一般的には日曜が法定休日となり土曜が所定休日となります。

法定休日は「週1日」とされますので、土曜に出勤したときは法定休日は翌日曜に確保されますが「週40時間」の

大原則に引っかかり1.25の割増賃金を支給する必要があります。


■変形労働時間制における法定休日


毎週日曜等、特定の曜日を法定休日と設定できれば分かりやすいですがシフト制で法定休日を特定しづらい業種もあると思います。

労基法に照らし「4週間を通じて4日以上」とはいえ、週の途中で給与締日がくることも多く厳密に給与計算期間と労基法が示す4週間は合致しません。


■実務上の対応


以上のことから、1ヵ月変形制を導入しており所定労働時間が7時間の事業所では6日の休日のうち

・休日出勤2日までは所定休日労働(=時間外労働)扱いで1.25増

・休日出勤3日目以降は法定休日労働扱いで1.35増

が、無難な扱いかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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